漢文句法
⑧否定・禁止(敢不・不敢)
| 漢字 | 読み | 訳 |
|---|---|---|
| 敢不 | 敢ヘテ~ざランヤ | どうして~しないだろうか、いやきっと~する |
| 不敢 無敢 |
敢ヘテ~ず 敢ヘテ~無し |
・決して~しない ・無理に(進んで)~しない |
※以下、原文中の は置き字
百獣之見我、敢不走乎。」《戦国策・借虎威》
百獣の我を見て、敢へて走らざらんや。
全ての動物が私を見て、どうして逃げないだろうか、いやきっと逃げる。
聞先生之言、敢不奉教焉。《史記》
先生の言を聞き、敢へて教へを奉ぜざらんや。
先生の言葉を聞き、どうして教えを守らないだろうか、いやきっと守る。
楚王曰「貢之不入有之。寡人罪也。敢不共乎。《史記》
楚王曰はく「貢の入らざるは之有り。寡人の罪なり。敢へて共せざらんや。
楚王が言うには、「我が国からのみつぎ物が周に入らなかったというのはその通りだ。今後はきっとみつぎ物を納めよう。
柳往謝之曰、「子釈罪。敢不再拝。」
柳往きて之を謝して曰はく、「子罪を釈す。敢へて再拝せざらんや。」と。《韓非子》
柳が解狐のもとに出かけて、この件を感謝して言うには、「あなたは私の罪を許してくれた。どうして二度お辞儀せずにいられようか。」と。
昆弟妻嫂、側目不敢視。《十八史略・鶏口牛後》
昆弟妻嫂、目を側めて敢へて視ず。
蘇秦の兄弟や妻、兄嫁は、蘇秦から目をそらして決して見ようとはしなかった。
今沛公先破秦入咸陽、毫毛不敢有所近。《史記・鴻門之会》
今沛公先づ秦を破り咸陽に入り、毫毛も敢へて近づくる所有らず。
沛公は最初に秦国を破り、秦の都咸陽に入ったが、そこにある財宝をほんのわずかも決して自分の身に近づけなかった。
不敢出宮省。《十八史略》
敢て宮省を出でず。
宦官たちは李膺を恐れて、決して宮中から外に出なかった。
君子無衆寡、無小大、無敢慢。《論語》
君子は衆寡と無く、小大と無く、敢へて慢る無し。
為政者は相手の多数少数に関わりなく、身分の貴賎に関わりなく、決して軽くあしらうことが無い。
王不聴。於是国莫敢出言。《史記》
王聴かず。是に於いて国に敢へて言を出だす莫し。
王は忠告を聞き入れなかった。そこで国内では進んで意見を言う者はいなくなった。
左右莫敢諌。《史記》
左右敢へて諫むるもの莫し。
側近たちも、進んで王をいさめる者は無かった。
狐曰、「子無敢食我也。《戦国策・借虎威》
狐曰はく、「子敢へて我を食らふ無かれ。
狐が言うには、「あなたは決して私を食べてはいけない。