漢文句法
⑨否定・禁止(その他の否定)
| 漢字 | 読み | 訳 |
|---|---|---|
| 無~無… | ~ト無ク…ト無ク | ~と…との区別なく |
| 無~ … | ~ …ト無ク | |
| 無一 | 一(ノ)…無シ | ・一つの…も無い ・全く…が無い |
※以下、原文中の は置き字
無貴無賎無長無少、道之所存師之所存也。《韓愈・師説》
貴と無く賎と無く長と無く少と無く、道の存する所は師の存する所なり。
身分の高い低い、年上年下に関係無く、真理を会得した人があれば、その人は師としての資格がある。
今謂天高、無少長愚智皆知高。《説苑》
今天高しと言はば、少長愚智と無く皆高きを知る。
今、天が高いという話をするならば、年下年上、愚か賢いに関係無く、皆高いということを知っている。
百姓聞之、知与不知、無老壮、皆為垂涙。《史記》
百姓之を聞き、知ると知らざると、老壮と無く、皆為めに涙を垂る。《史記》
民衆はこれ(李広将軍の死)を聞いて、将軍を知る者も知らない者も、老人と若者の区別なく、皆将軍のために涙を流した。
宮中之事、事無大小悉以咨之、然後施行、《諸葛亮・出師表》
宮中の事、事大小と無く悉く以て之に咨り、然る後に施行せば、
宮中の事は、その事柄の大小の区別なく全てこの者たちに相談し、その後で実行するならば、
男子無大小皆黥面文身。《魏志倭人伝》
男子大小と無く皆黥面文身す。
倭国の男は、大人と子どもとの区別なく、皆顔と体に入れ墨をしている。
君子無衆寡、無小大、無敢慢。《論語》
君子は衆寡と無く、小大と無く、敢へて慢る無し。
為政者は相手の多数少数に関わりなく、身分の貴賎に関わりなく、決して軽くあしらうことが無い。
親朋無一字 老病有孤舟《杜甫・登岳陽楼》
親朋一字無く、老病孤舟有り。
親類や友人からは全く便りが無く、老いて病の我が身には、ただ一そうの小舟があるだけだ。
籍与江東子弟八千人、渡江而西、今無一人還。《史記・項王自刎》
籍江東の子弟八千人と、江を渡りて西せしも、今一人の還るもの無し。
私、項籍は故郷江東の若者八千人を連れて、長江を渡り西に進撃したが、今となっては、一人も帰る者がいない。
嘆曰、「二十四郡、曾無一人義士邪。」《十八史略》
嘆じて曰はく、「二十四郡、曾て一人の義士無きか。」と。
玄宗皇帝が嘆いて言うには、「河北の二十四郡には、これまで一人も忠義の人物がいなかったのか。」と。
無一騎肯降。《十八史略》
一騎の肯へて降るもの無し。
騎兵は一人も進んで降伏する者がいなかった。
終日不獲一。《孟子》
終日にして一も獲ず。
一日中狩りをして、獲物を全く捕まえられない。