漢文句法
③否定・禁止(単純な否定)
| 漢字 | 読み | 訳 |
|---|---|---|
| 不・弗 | ―ず | ―ない |
| 非・匪 | ―ニ非ズ | ―でない |
| 非―所… | ―ノ…(スル)所ニ非ズ | ・―が…する事(物)ではない ・―が…する必要は無い |
| 無・莫 | ―無シ | ―が無い |
※以下、原文中の は置き字。ここでは白文のままなので、返り点、送り仮名、漢字の読みなど確認したい場合は問題(PDF)を見てください。
歳月不待人。《陶潜・雑詩》
歳月は人を待たず。
時の流れは、人を待たない。
虎不知獣畏己而走也。《戦国策・借虎威》
虎獣の己を畏れて走ぐるを知らざるなり。
虎は、獣たちが自分を怖れて逃げたのだと知らなかった。
囲之弗克。《十八史略》
之を囲みて克たず。
この城を取り囲んで攻めたが、勝たなかった。
使鯀治之。九載弗績。《十八史略》
鯀をして之を治めしむ。九載績あらず。
(堯は)鯀に命じてこの洪水を治水させた。しかし九年たっても成果が無かった。
其人弗能応也。
其の人応ふる能はざるなり。
その人は答えることができなかった。《韓非子・矛盾》
無是非之心非人也。《孟子》
是非の心無きは、人に非ざるなり。
正と不正とを判断する心が無ければ、人ではないのである。《孟子》
此天之亡我、非戦之罪也。《史記》
此れ天の我を亡ぼすにして、戦の罪に非ざるなり。
これ(私が負けたの)は天が私を滅ぼそうとしているのであって、戦い方が悪かったのではない。
彼交匪傲。万福来求。《春秋左氏伝》
彼の交はり傲るに匪ず。万福来たり求む。
あの人の人付き合いは、傲慢でない。だからあらゆる福が自然と集まる。
我心匪石 不可転也 我心匪席 不可巻也《詩経》
我が心石に匪ず 転がすべからず 我が心席に匪ず 巻くべからざるなり
私の心は石ではない。転がすことは出来ない。私の心はむしろではない。巻くことは出来ないのである。
匪我求童蒙、童蒙求我。《易経》
我童蒙に求むるに匪ず童蒙我に求む
(教える・学ぶというのは)私から無知な子どもに求めるのではなく、無知な子どもから私に(教えを)求める、というのが大事である。
太子遹非賈后所生。《十八史略》
太子遹は賈后の生む所に非ず。
皇太子の遹は、(皇后の)賈后が産んだ子ではなかった。
子曰、「賜也、非爾所及也。《論語》
子曰はく、「賜や、爾の及ぶ所に非ざるなり。
(弟子の賜が生き方の抱負を語ったところ、)孔子先生が言うには、「賜よ、それはお前の能力でできることではない。」と。
孟子対曰、「是謀非吾所能及也。《孟子》
孟子対へて曰はく、「是の謀吾が能く及ぶ所に非ざるなり。
相談された孟子が答えて言うには、「この戦略は、私の能力でできることではない。
沈猶行曰、「是非汝所知也。《孟子》
沈猶行曰はく、「是汝の知る所に非ざるなり。
沈猶行が言うには、「これはお前たちが分かることではないのだ。
公明高曰、「是非爾所知也。」《孟子》
公明高曰、「是爾の知る所に非ざるなり。」と。
公明高が言うには、「これはお前が分かることではないのだ。」と。
有備無患。《書経》
備へ有れば患へ無し。
あらかじめ準備をしていれば、心配事は無い。
左右皆泣、莫能仰視。《史記》
左右皆泣き、能く仰ぎ視るもの莫し。
側近たちは皆泣き、顔を上げて(項王を)見ることができる者はいなかった。